小鳥と恋愛小説家





大河は黙って泣くあたしを見つめてた。



その瞳に軽蔑の色は消えていた。



ただまっすぐに清んだ瞳だった。



「………!………じゃあ、俺はもう行く………。」



「…………!」



小さくそれだけつぶやいて、大河は屋上を後にした。



大河がいなくなった屋上に現れたのは








「……………カケル…………?」



「…………。」









あたしの、弟………。







きっと、ずっと、いてくれたのね………。





もつれる足で駆けよって、黙って立つカケルの腕にすがりついた。



「カケル……ごめんね……!ごめんなさい……!!」



カケルはあたしを見つめて



その顔をくしゃりと歪め



「謝らないでよ……。

謝るの………俺の方なんだよ……?」



「…………え……?」



泣いてカケルの腕にすがるあたしをカケルは見たこともない悲しげな顔で見ていた……。







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