小鳥と恋愛小説家
「二人は別れて……ぜんぶ思い通りになったのに………ぜんぜん小鳥ちゃんは俺を見てはくれなかったよ………。
少しも笑わなくなった。
大河が言ったことが胸に突き刺さったよ…………。
人の気持ちは思い通りにはならないね……。
俺の望みって何だったんだろう………!?
結局はみんなを傷つけただけだった……!!」
「…………カケル………!」
顔を両手で覆ったカケルを堪らず抱き締めた。
何て馬鹿だったの…………あたし達……。
無い物ねだりを我慢することが出来なくて、大切な人を傷つけた。
「………………カナヤを………あの子に返すわ………。あんたもあの子を諦めなさい。」
「…………ツバサ……!」
ハッと顔をあげたカケルに泣き笑いのような顔になった。
カケルの瞳も赤かった。
「あたしには………あんたがいるもの。あんたには、あたしがいるでしょ?」
「…………っ。」
強く、ならなくちゃ…………。
カナヤ…………あなたを言い訳にして、ごめんなさい………。
小鳥………優しいあなたにつけこんで、ごめんなさい………。
カケル………ずっと傍にいてくれたのに、馬鹿な姉でごめんね…………。
ありがとう―――――大河。