小鳥と恋愛小説家
□逢いたい、逢いたい、逢いたい
【side小鳥】
「…………。」
ベッドに寝転んで、ケータイのお気に入りに登録してある一覧をぼんやりと眺めていた。
一番上にあった一番のお気に入り…《ケータイ小説サイトらずべりー》はそこから消えた………。
――――あの日、
ツバサさんがカナくんにキスを迫ってるのを見て…………サイトを辞めた………。
もう、叶音様の小説も読んではいられないと思った。
この中にも………あたしはいちゃいけないと思った。
双葉に言ったら『何やってんのよ!?』って絶叫された。
ぽっかり………胸に穴でも空いたみたい…………。
あたしはケータイ小説が大好きで………叶音様が大好きだった。
甘くて優しい叶音様の小説を読むのがツラい………。
もう、その主人公を自分だって思いながら読むことは出来ない。
だってアレはあたしじゃないんだから………。