小鳥と恋愛小説家




「最初は面白半分だったけど、いつも明るくて元気な小鳥ちゃんのことほんとに好きになってた。

でも、小鳥ちゃんはカナがいなきゃまるで笑ってくれなくなったよ………。

俺の好きな小鳥ちゃんは、カナの傍にいる小鳥ちゃんだったんだね。

カナ………俺がめちゃくちゃにしといて都合良すぎだけどさ、また小鳥ちゃん笑わせてやってね……?


許せなんて言わないけど………ごめん、カナ………!」



「カケル………。」



勢いよく頭を下げたカケルに驚いた。



「…………!」



俺はそんなカケルの方をポンと叩いた。



カケルは驚いたように顔をあげて赤い目をして俺を見た。



「おまえの気持ちはよくわかったから……。

もう、いい。

カケルもツバサも俺にとって、これからも大事な従兄弟に変わりはない。


ツバサにも……伝えて。

ツバサの望み通りには出来ないけど、俺はツバサにしっかり生きてもらいたい。心から、そう思ってる。」



「…………っ。


…………ありがと………カナ……。

俺も、やっぱりカナが好きだなぁ………。」



ふにゃりと子供みたいに笑ったカケルに、子供の頃を思い出した。



カケルはのんびりゆるい子供で…気の強いツバサの後ろで、いつも俺と二人でツバサに言いなりになってたなぁ……。



思えばいつも仲間だったよな?



姉が大きな病気で、カケルには俺じゃ想像出来ないくらい寂しい思いなんかもあったんだろうと…そんなことを、思った………。







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