小鳥と恋愛小説家
「大河にもお礼言わないとな……。」
「…………!?
た…大河………?」
泣き笑いでつぶやいたカケルにぎょっとする。
今さっきまでまさに意味深なこと言ってここに居たんですよ………っ。
「………?
うん、説教された。おかげでツバサと二人でハッとしたよ。
何となく思ってたけどやっぱりツバサには大河みたいなヤツのが合う気がする。」
「…………!!?」
へらりと笑って言うカケルの言葉に衝撃が走る俺。
でも確かに言われてみると女王様を振り回す勢いで渡り合えるのは大河だけのような…………?
ど…どんだけうるさいカップルになるんだ…………っ!?
想像するだけで耳を塞ぎたくなるんですが。
「カナ、出かけるとこじゃなかったの?」
思わず空を仰ぐ俺にカケルが言った。
「………!………ん。」
それにハッとして時計を見た。
時刻は5時30分になったところ。
「引き留めてごめんね。俺が謝ってたって………よかったら伝えて。」
カケルは俺が小鳥のところに行こうとしてたの気づいてたのか…………。
切な気な横顔にカケルが本気で小鳥を想っていたことを実感した。
「必ず伝える。小鳥は、絶対に許してくれる。」
「…………!………ありがと………。」
顔を上げたカケルはまた少し泣きそうになった後、今度はすごく嬉しそうに笑った。