小鳥と恋愛小説家
「…………いないっ?」
「そうなのよ~。帰ってきたら部屋はぐっちゃぐちゃで………まったくどこほっつき歩いてんのかしら。」
カケルとわかれてひたすら走った俺は、たどり着いた小鳥の家でお母さんにいないと言われがっくり肩を落としていた。
「………急に失礼しました。」
「いいのよ~!会ったらとっとと帰れって言っておいてちょうだい。まぁ、貴宮くんが一緒なら心配ないわね。」
笑顔のお母さんに頭を下げてまた走り出す。
走りながら
最後に逢った時の小鳥の笑顔を思い出す。
逢うと小鳥はいつも明るいお日様みたいな笑顔で…………
小鳥との思い出は楽しいことのほうが当たり前に多いはずなのに
今は
あの小さな
泣いているような後ろ姿ばかりが浮かぶ。
カケルが、『小鳥ちゃんは少しも笑わなくなった』…って言ってた。
自惚れていいなら
俺が君を
――――笑顔にしてあげたい。
だから、
なぁ………小鳥
君の笑顔で
――――俺を笑顔にしてください。