小鳥と恋愛小説家





「…………優し…い…?」



いきなりな言葉に驚いて…………うまく頭が回らなかった。



「うん!……今日もわざわざお礼に来てくれたし………あたしあの後、みんなから質問攻めだった!」



そう言って……彼女は楽しそうに笑った。
貴宮くんて自覚もなさそうだよねぇ…そんなことまで言いながら。



自覚……?それは確かに意味がわからないけど………



ちょっとした不安も胸の中に生まれた。



褒められてるような気がしなくもないんだけど…………








「………がっかり、した………?」



実は騒がれるほど、クールでもなんでもなくて………



俺はただ…うまく言葉にするのが苦手で、
人見知りなだけだ…………。



不安な俺に……小鳥ちゃんは………



「………?ぜんぜん!!むしろ…気づけて嬉しかった!!」



「…………!!」



少し顔を赤らめて…………眩しいほどの笑顔でそう言ってくれた。



「…………っ。」



ギュッと締め付けられる胸………。



ありのままの俺に……嬉しいなんて言ってくれた君…………。










「…………ありがと。」



「………??…どういたしまして!」



それだけ言うのが精一杯。









優しいのは…………君。









< 35 / 344 >

この作品をシェア

pagetop