小鳥と恋愛小説家
「………ごっ、ごめ…なさ……っ」
ち……近い………っ!!
「………ん。」
彼はそれだけ言って、あたしをソッと下ろしてくれた。
後ろから支えられてよかったと思う………。
あたし……今、絶対に真っ赤だから。
声を出すのも精一杯だったから。
支えられた力強い腕に………貴宮くんはやっぱりかっこいい男の子なんだと、今更ながら思い知った………。
どうしよう………!
助けて!叶音様……!!
こんな時、叶音様の小説に出てくる女の子なら……っ、なんて言ったらいいの……!?
「………ほんとに大丈夫?……どこか、痛い……?」
「………!!……う、ううん…っ!………ありがと……。」
心配そうな声に我に返る。
またまた顔が熱くて……俯いたままでしか言葉が出なかった。
恥ずかしい………!
なんで……っ、小説の女の子と自分を同化させてんのっ!?
いくら貴宮くんが小説のヒーローみたいでも……
あたしなんかただの小鳥だっての!!
なんで今日のあたしはこんなに乙女思考なの~~っ!!
ぐるぐると自分内パニックを起こしているあたしに対して………
「………??」
貴宮くんはきょとんとして首をかしげていた………。