小鳥と恋愛小説家




「………ごっ、ごめ…なさ……っ」



ち……近い………っ!!



「………ん。」



彼はそれだけ言って、あたしをソッと下ろしてくれた。



後ろから支えられてよかったと思う………。



あたし……今、絶対に真っ赤だから。



声を出すのも精一杯だったから。



支えられた力強い腕に………貴宮くんはやっぱりかっこいい男の子なんだと、今更ながら思い知った………。



どうしよう………!



助けて!叶音様……!!



こんな時、叶音様の小説に出てくる女の子なら……っ、なんて言ったらいいの……!?







「………ほんとに大丈夫?……どこか、痛い……?」



「………!!……う、ううん…っ!………ありがと……。」



心配そうな声に我に返る。



またまた顔が熱くて……俯いたままでしか言葉が出なかった。



恥ずかしい………!



なんで……っ、小説の女の子と自分を同化させてんのっ!?



いくら貴宮くんが小説のヒーローみたいでも……



あたしなんかただの小鳥だっての!!



なんで今日のあたしはこんなに乙女思考なの~~っ!!










ぐるぐると自分内パニックを起こしているあたしに対して………



「………??」



貴宮くんはきょとんとして首をかしげていた………。










< 39 / 344 >

この作品をシェア

pagetop