小鳥と恋愛小説家
俺の密かな趣味を知ってる唯一の男は、嫌そうに顔をしかめて俺に釘をさした。
「しかも…っ、なんでその趣味なんだっ!?おまえの見た目だとミステリーかハードボイルドだ!!」
「……俺は、きゅんが好きな………」
んだ…。と続けようとしたら、ものすごい素早さで大河に口を塞がれた。
「言うな……っ!ばかたれ!!……バレたら周囲はドン引きだ!二度と女の子にはモテねぇと思えっ!?」
「…………むぐー…。」
別に今のところ女の子に興味はないんだけど………。
大河は死んでも言うなと、非常にうるさい。
妄想の世界で恋愛小説を書いてるけど、自分自身ではあんまり興味がなかったりする。
人見知りが激しい俺にとって、女の子は未知の生物だ。
大河はもったいないと言うけど
とりあえずで付き合えるほど器用じゃないし、相手の子にも失礼だよな。
でも
大河には言ってないけど……
一人だけ、いる。
興味のある女の子。
――――《小鳥》ちゃん……。