小鳥と恋愛小説家
大河が言う《あの趣味》っていうのは間違いなく俺がケータイ小説を描いてるってことだろうけど………。
「…………どうしてだ?」
それは確かに大河以外知らないけど、俺にはなんでそんなに隠さないといけないのか……いまいちよくわからなかったりする。
まぁ…確かに小鳥ちゃんは俺のファンで………
作家の叶音を女の子と思ってるから今さら言い出し難いってのはあるけど…………。
どうしてそこまで真剣な目をして言われるのか、わからない。
「当たり前だっつーの!前々から言ってんじゃねぇか!?………クールなイケメン様の趣味がアレじゃあ、女の子はドン引きなの!!
嫌われたくなかったら……隠すか辞めるかしろ!!!」
「…………!!?」
き…嫌われるほど…………!!?
あんまりな大河の言葉に衝撃を受ける俺…………。
で、でも…………
「………小鳥ちゃんは俺がクールと違うのは知ってるぞ………?」
「………マジかっ!?………でも、それはそれっ!あの趣味だけはバラすなっ!!」
「…………。」
そのあまりの剣幕に…思わずコクリと頷いた。
「…………よしっ!!いいかっ!?気をつけろよ!?」
「…………ん……。」
大河はほっとしたような顔をしたけど…………
俺の心には……モヤモヤしたものが残った…………。