小鳥と恋愛小説家
「う~ん……。まったくもって憎くて愛しいお方……!」
ケータイを握りしめながらアホなことまでつぶやいた。
「……小鳥(コトリ)~~……まぁた読んでるの?」
そんなあたしに呆れた顔をして、親友の仁科双葉(ニシナフタバ)が目をすがめて見ていた。
「だって、叶音様の新作だよ……っ!?読まないわけないじゃんっ!!」
「………出たよ………。」
双葉はいよいよ付き合いきれないって顔になる。
「いーのっ!!」
そんな双葉にあたしはほっぺたをふくらませてそっぽを向いた。
あたしが興奮気味に読んでたのは
登録してあるケータイ小説サイトらずべりーのお気に入り作家《叶音》様のケータイ小説……!
この人の一番最初の作品からの大っファンで………!!
まさに――神!!
だって、この人の作品ったら甘くて切なくて……とにかく、きゅんっ!!
あたしの憧れの恋が、小説の中いっぱいに詰まってるんだ。