小鳥と恋愛小説家
「いや……あんたねぇ……。せっかくそんな可愛く生まれてきたんだから、現実の恋に目を向けなって。」
「…………。」
夢ばっかり見てるあたしに、双葉はいつも諭すようにそんなことを言う……。
「よくわかんないもん。………あたしはまだ叶音様の小説があればいー。」
だけどあたしの答えはいつもこれ。
小説の中の恋ばかりで……今はまだ現実の恋なんて実感もわかない。
だって…小説だけで充分にきゅんきゅん出来てる。
現実の男の子なんて、ちびなあたしの前に来るとみんなでっかくて怖いし……。
あたしはまだまだ子供なのかな……?
だから……いつか、で、いい。
そう、いつか……
「……叶音様の小説みたいな恋ならしてみたい………。」
「…………。」
花咲小鳥(ハナサキコトリ)16歳。
叶音様の小説の大ファンで………
――――今はまだ妄想の世界に生きてます。