六百円の距離
*突然の出来事
卓哉から来た、突然すぎるメール。
『皐月~。俺、明後日引っ越すことになった(T_T)引越し先はこっからちょっと遠い××市ってトコ。まじありえねーわ(-_-;)皐月とあんま会えなくなるな・・・・』
「ええええええっ!」
メールを見て思わず叫んでしまった私。
「嘘ぉ・・・・」
引越しなんて言ってなかったのにっ!
いきなりすぎるだろっ!
私は電話帳を開いて、卓哉の電話番号を押した。
プルルルルル・・・
プルルルル・・
『もしもぉーし・・・皐月?』
「うん。・・・ねえ、さっきのメール・・・」
『あ~・・・引っ越すって話?』
「うん。ほんとに引越しちゃうの?」
『ああ。なんか親父が××市にある会社に転勤する事になっちゃってさ。』
「そっか・・・卓哉だけここに残れないの?」
『んー・・・無理っぽいな・・』
「そんなぁ・・」
『俺がいないとさみしいのか?』
「あたりまえじゃん!馬鹿っ!」
『・・・ごめんな・・』
「うん・・・・」
『でもさ、こっからちょっと遠いとこに住むだけだからさ。』
「うん・・・」
『皐月が会いたい時、いつでも行くから。』
「うん・・・ありがと・・」
『じゃあ、俺今ちょっと忙しいからまたあとでかけなおす。』
「わかった・・・。」
『じゃあな。』
「ばいばぁい・・」
プツッ・・・
ツーツー・・・
「あーあ・・・どうしよ・・」
目の前にいる愛犬、太郎に問いかける。
ちなみに太郎は柴犬。
「さみしいよぉ~・・」
太郎は潤んだ瞳で私を見ている。