先生が生徒を監禁して
「ほら、あーん」
玉子焼きを手始めに取り、食べやすい大きさで夏川の口まで運ぶが――堅く閉じられた口は開こうともしない。
ただ、顔は欲求と戦っているようだ。
無理もない。
丸一日、彼女はこうして食べることを拒否しているのだから。
「食べたらどうです?おいしいよ」
害はないものだと自分で食べてみせた。
そうして、玉子焼きの片割れをまた口まで運ぶ。
「どうぞ」
「っ……」
ここでやっと、夏川の口が開いた。
絡み合いたい舌が微かに見えて、口づけしたい口に玉子焼きを入れる。
咀嚼をしていく内に驚いたような顔になる夏川。