先生が生徒を監禁して
「嫌だってば~!」
「おねだりは?」
「っっ」
最近、夏川に自尊心が芽生え初めていた。
言うに、おねだりをしない。慣れてきたんだろう、この状況に。
郷に入れば郷に習えたる習性ある人間の適応力がわいてきたか、めんどうな。
これ以上つついても、夏川はおねだりをしなさそうだ。
「夏川璃苑、勝負しませんか」
「勝負?」
ええ、とトランプを取り出した。
「ババ抜きです」
「二人でババ抜きって……」
「分かりやすいでしょう?」
腕の拘束をとき、トランプをシャッフルした。
「俺が負けたら、幽霊対策をしましょう」
「先生が勝った、ら……?」
笑っておく。
言わないのがいいと思い、あとの楽しみですよとつけくわえた。
夏川のことだ、ババ抜きでは、ジョーカーがきたらきてしまったという顔をするバカ正直なタイプだろう。
それを利用すれば――