初恋 〜君と私の片思い〜
「ボール……ボール……
7、6、5…5ぐらいでいいかな」
よいしょっとボールを持ち上げると思っていたよりも重く、危うく落としそうになる。
「危ねぇな。意外と力ねぇんだなお前。てかボール軽ッッ!!」
声がする方を向くと、私が持っていたボールをひょいっと軽々持ち上げる彼がいた。
「い、一ノ瀬!?」
....
「久しぶりだよな。草摩と話すの。」
「う、うん!あのさ…ボール返してくれない?」
「なんで?レーンまで俺が運んでやるって言ってんの」
なんで?って言われても…
“運んでやる”って誰も頼んでないし。
普通なら“ありがとう”とか言うべきなんだろうな…
なんて返せばいいのか分からない私は、無言のまま一ノ瀬にボールを持ってもらったまま、みんなのもとへ行った。