氷の姫君
「俺じゃお前を守れないか?」

「どうしてあなたが私なんかを守るの?」

「俺は雪姫が好きだ。」

いきなりの告白に戸惑う。
斎は続けて語る。

「最初に雪姫にあったのは真実の森の湖だった。」

「え?」

「君が水浴びをしているところを見つけたんだ。俺は一目で恋に落ちたんだ。」

「知らなかった・・・・。」

「君と目があった途端この世界に来ていたんだ。」

「私の瞳は他人を誘い込む力があるから・・・。」

「だけど来れてよかったと思ってる。雪姫に出会えたからな。」

にっこりと笑われると切なくなる。
私がこの人の人生を変えてしまったんだ。

だけど、素直に斎の告白が嬉しい。
ああ、私も斎に恋をしていたのね。

一目見たその時から無意識に惹かれていたんだ。
だから、さっき苛々したんだ。

涙が溢れた。

雪女でも涙が出ることを初めて知った。

「雪姫・・・?」

斎が心配そうにこちらを覗き込む。
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