氷の姫君
「俺は人間だ。いつかは死ぬ。」

「だけど・・・あまりにも早すぎるわ・・・」

思わず涙がこぼれてくる。
その涙をそっと斎が拭う。

「俺は後悔はしていない。雪姫に逢えてよかったと思ってるからな。」

「っ・・・・」

涙が次々零れ落ちる。
どうしてそこまでしてくれるの?

「雪姫は?」

苦しいはずなのに笑って聞いてくれる。
ならば私も笑おう。

「ったしも・・・」

「え?」

「私も貴方に逢えてよかった。」

涙が溢れているのも気にせずにこりと笑う。

「最後の君の笑顔がみれてよかっ・・・・」

すべてを言い終える前に斎は静かに目を閉じた。

静かに雪が降ってくる。

ねえ?私これからどうしたらいいの?

私はぼんやりと考え込んでいた。


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