氷の姫君
「本当にありがとうございます。だけどこれは・・・雪姫様のために使ってもいいですか?」

幽玄様は少し驚いた顔をした。

「自分の望みではなく他人の幸せを願うと?」

「はい。」

ふっと笑う。

「好きにせい。」

「ありがとうございます。」

私はそっと瞳を閉じる。
そして願い事を頭に思い描く。

すると雪水晶はきらめいてはじけ飛んだ。

「きっと願いが叶いますように・・・・」

「大丈夫じゃ。」

「はい。」

「ではおぬしは早くおぬしの思うものの所へ行くのじゃ。雪姫の加護のおかげで時空を超えられるはずじゃからな。」

「はい!」

私は目を閉じる。
どうか私をダルジェの元へ導いて。

そう願うと体がふわりと浮いた。
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