氷の姫君
「会場にいるやつには俺から伝えとく。」

「頼む。」

ダルジェが歩き出すとレンが声を上げた。

「おい!ダルジェ。これ月華ちゃんのティアラの
宝石じゃないか?」

「これは。」

レンの手に握られているのは一見ダイヤモンドに見えるが月華の涙だった。

「いや、それはお前にやる。」

「え?」

呆気にとられているレンを他所に
ダルジェは馬車まで歩みを進めた。

「何故涙を流したのだ月華。」

そっと呟き月華の顔をのぞくと唇を強くかんだのか唇に傷がついていた。

ダルジェはそれを舐めて直す。

そしてそっと口付けをする。

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