氷の姫君
なんであなたが謝るの?
ああ、そっか。シェリルさんはダルジェの許婚だもんね。大切な人の変わりに謝るのは当然よね。

「怪我をしなかったか?」
「うん。」

「なあ月華?」

「なあに?」

「なぜ会場から抜け出した?」

「だから外の空気を吸いたくなって・・・」

「あのシェリルといた場所にお前の涙が落ちていた。」

「え?」

「レンがダイヤモンドと間違えて拾ったのだ。」

あの時!
ちゃんと周りを見ればよかった。

黙ってうつむく月華。

「なにか周りのものに言われたのか?」

ただ首を横に振ることしか出来ない。
あんな理不尽な理由で泣いたってダルジェに知られたらきっと呆れられてしまう。

どうしよう?

「月華?」

心配そうにダルジェが覗き込む。
こんな顔させたい訳じゃないのに。

「あの、ごめんなさい!」

「なにを謝る?もとわといえば私が悪いのだ。無理にお前に頼んだからな。だからお前が謝る必要は無い。」

そういってダルジェは優しく微笑む。

違う違う違う!
あなたが悪いんじゃない。

私が、私が・・・・

「ごめんなさい!」

そう言って私はダルジェは突き飛ばし近くの窓まで走る。

いきなりのことにダルジェは驚きバランスを崩す。





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