氷の姫君
「恋しちゃったのかな。」
自分で呟き驚く。
ああ、そっか。恋したんだ。
だから上手く感情をコントロールできないんだ。

「っ。」

体が下に落ちそうになる。
泣いたから魔力を消耗したんだ。

その瞬間誰かに手を掴まれ、驚き振り向いた瞬間抱きしめられた。

「お前は本当に私を心配にさせるな。」

「ダルジェ?」

間違いなく声の主はダルジェ。
でも、なんで?
あなた空飛べるの?

「屋敷に戻るぞ。」

「待って!あなた空飛べるの?」

「ああ。」

「でも、なんで。」

「訳は屋敷に戻ってから話す。」

そして手を掴んだまま屋敷の方向に引き返そうとするダルジェ。
なんとも言えない気持になり私は叫ぶ。

「離して。私も飛べる。」

「そのふらふらな体で何を言う。」

そう言って有無を言わせず月華を抱き上げる。その瞬間物凄いスピードで飛び始めた。

「きゃ!」

私は慌ててダルジェの首に手を回す。


< 56 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop