氷の姫君
「そっちがその気なら!」

私はその霊力を自分の霊力ではじき返す。

しまった!霊力はそのままファードに弾き返る。

「っ!」

私は急いでファードの前に氷の壁を作る。
氷の壁に当たった霊力は弾け飛んだ。

良かった。

雪女は霊力を使うと手加減できなくなる事がある。
本来の雪女の冷酷な血は私にも流れているわね。
そう改めて実感し苦笑いをもらす。

「これでいいかしら?」

ファードの前に歩み寄る。
ファードは不思議そうな顔をしていた。

「どうしたの?」

「何故私の前に氷の壁を作ったのですか?」

「だって作らなきゃあなた死んでたわよ?」

「あなたは本当にお人よしですね。攻撃をしかけた相手を助けるなど。」

「だって殺す理由なんてないじゃない?」

そう笑って言うとファードは一人で笑い出した。
あれ?あたし変な事いった?

一頻り笑った後ファードは立ち上がった。

「行きましょうか。」

「え?何処に?」

「ダルジェ様の下に行かれるのではないのですか?」

「う、うん!」

「行きますよ。」

そういうとファードは歩き出した。
私ファードーに認められたの?

凄い嬉しい!!

私はにこにこしながらファードの後に続いて歩き出した。


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