氷の姫君
「ダルジェ。誰だった?」

レンが若干警戒気味に聞いてくる。
月華はレンの声にびくびくしながら戸惑っていた。

「月華だ。お前叫ぶだけで殺気を出すのをやめろ。月華が怪我をしてしまっただろ。」

「え?本当か?」

「ああ。」

そう答えると月華を自分の前に出す。

「うわ、結構血が出てる。月華ちゃん本当にごめんね。」

あたふたしながら謝るレン。

「いえ、気にしないでください。」

月華は笑っていたが頬が痛むのか少し苦い顔をしていた。

「まず、その怪我を何とかしないと駄目だな。月華目を瞑りこちらを向いてくれないか?」

「ダルジェ?」

不思議そうな顔をしている月華。

そんな月華の頬をひと舐めすると傷は直ぐに消えた。

「え?え?ダルジェ?」

薔薇のように顔を真っ赤にしている月華。

「お前が恥ずかしがると思ったから目を瞑れと言ったのだ。」

ごめんなさい。
早くいってほしかった。
耳まで真っ赤にした月華は少し悔しそうにダルジェを見つめた。

「座るぞ。」

「う、うん。」
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