氷の姫君
「まずね、セーラ様は空間の歪に巻き込まれていたの。」

「うん。」

レンさんもそう言ってた。

「空間の歪はわざと繋げてあるのよ。」

「え?」

「ダルジェ様はヴァンパイア。血を飲まなければ生きていけない。だから迷い込んだ物の血を貰うのよ。まあ、多少貰ったらちゃんともといた世界に返すのだけどね」

「そうなん、だ。」

初めて聞いた。

「だけどあの時はセーラ様を助けて血を飲まれなかった。」

「なぜ?」

「多分きまぐれね。」

「きまぐれ。」

「ええ。ダルジェ様はそれからセーラ様を傍に置いていたわ。たぶんそれで愛情が生まれたんじゃないかしら?」

「そっか。」

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