氷の姫君

愛情が生まれた。
不思議な事ではないかもしれない。

「セーラ様と過ごされていた日々はダルジェ様本当に優しく笑われていたわ。でもその時は来たの。」

「その時?」

「セーラ様が亡くなられたのよ。」

「え・・・・」

死んだ?

「どうして?」

「病気よ。セーラ様は人間だったの。」

「にんげん。」

知っている。
私たちと姿は同じだがあっというまに年をとり短い時を生きる儚い生き物。

「最後セーラ様は必死にダルジェ様になにか伝えようとされたわ。だけど、わからないままお亡くなりになられたの。」

「そうだったんだ。」

「ダルジェ様はそれから悲しまれ悩まれたわ。セーラ様は幸せだったのかどうかってね」

「そんな過去があったんだ・・・。」

「ええ。あの方はヴァンパイアの中ではとても優しい方。ひと時を過ぎてしまう生き物と分かっていても愛したのね。」