氷の姫君
窓から飛び出したのは2回目。

確かに言いすぎたかもしれない。
でも私が過去から戻ってきたときダルジェは凄い心配してくれた。
だから私も役に立ちたかったのに・・・・。

私は涙を乱暴にふき取る。

これからどうしよう?

思わず後ろを振り向いてしまう。
やっぱりダルジェは追いかけてきてくれない。

なにを期待しているのかしら?

「ははっ。」

自分からしたことなのにまた泣きたくなる。
雪女は泣かない。
泣いたら弱さを示すことになるから。

でも私この世界に来てから泣いてばかりだな。
涙にも種類があることを知りました。

「ん?」

頬に冷たさを感じ空を見上げると雨が降ってきた。

雨か。
冷たい。
でも丁度いいかな。
これで涙がわからないから。

私はその場にしばらくとどまっていた。

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