眠れぬ夜は君のせい

├黒猫を拾った

すっかり日も暮れて、空は真っ暗と化していた。

街灯が静かに街を照らしていた。

執事が運転する迎えの車で帰るくらいなら、1人で歩いて帰った方がまだマシだ。

「――吸血鬼、か」

歩きながら、俺は呟いた。

そいつは一体どんなヤツなのだろうか?

男女関係なく無差別に血を奪うくらいだから、とんでもない大悪党か?

そんなヤツに会えるなら、俺は迷わず自分の血を提供してやる。

そう思っていた時、
「――ッ…!?」

足に何かがつまずいた。

ったく、何だよ。

そう思いながら地面に視線を向けると、
「――女…?」

いや、女の子と言った方が正しいかも知れない。
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