眠れぬ夜は君のせい
ふっと、伸びてきた腕。

…えっ?

視線を向けると、
「衛藤さん…?」

私、衛藤さんに抱きしめられてる…?

「離して」

口では言うけど、抵抗はしない。

いや、抵抗できなかった。

どうしてだかわからないけど、抵抗することができなかった。

今すぐこの腕を振り払って、部屋を飛び出して、誰かを呼べばいい。

でも、できなかった。

どうしてなのかわからない。

「理由なんていらないと思う」

衛藤さんが言った。
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