眠れぬ夜は君のせい
「私が萌波を抱きしめる理由なんていらない」

どうして優しいのだろう。

どうして、あなたはこんなにも優しいの?

「――失くしたの…」

私は言った。

「恋人と親友、2つを失くしたの…」

声が、震える。

話したって、仕方がない。

でも、唇が勝手に動く。

衛藤さんにわかって欲しいと言うように。

「親友が、恋人とつきあってたの…。

私、彼女と彼がキスしているところを見たの…」

涙が出てくる。
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