眠れぬ夜は君のせい
「もういいよ」

衛藤さんがそっと、涙をぬぐった。

「萌波」

そっと、大事なものを抱えるように私を抱きしめる力を強くする衛藤さん。

「萌波が寂しい時、私がそばにいる。

こうして、私が萌波を抱きしめるから」

衛藤さんが微笑む。

優しく、優しく…。

温かい体温に、意識を手放しそうになる。

衛藤さんが優しく私に微笑みかける。

その微笑みを眺めながら、私は目を閉じた。

温かい体温を肌に感じながら、意識を手放した。
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