眠れぬ夜は君のせい
「私の家だ」

隣に衛藤さんがいた。

「家?」

そう聞き返した私に、
「そう言う意味で連れてきた訳じゃない。

理由はこっちの方。

ついてきて」

衛藤さんが歩き出す。

私は彼の後を追う。

「なかなか広い庭だろ?」

「そうですね」

右を見ても左を見ても、あるのは花ばかり。

「母が好きでね、いろんな花を育てているんだ」

うっかりしたら、別の世界へと迷ってしまいそう。

もう、迷っているのかも知れないけど。
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