眠れぬ夜は君のせい
紫色のキレイな花。

そこから漂う甘い香りが、鼻を刺激する。

「ライラックだ」

衛藤さんが言った。

「ライラック?」

視線を向けると、衛藤さんの視線はライラックに向けられていた。

「この時期になると咲くんだ。

香りがいいから、主に香水に利用されてる」

「へえ…」

「私の好きな花でもあるんだ」

「えっ?」

それは意外だった。

だって、そんなイメージないんだもん。
< 114 / 252 >

この作品をシェア

pagetop