眠れぬ夜は君のせい
彼女を抱えて屋敷に帰ると、
「おかえりなさいませ…って、正宗様!?」

メイドが驚いた声をあげたのを無視すると、俺は中に入った。

「道で彼女が倒れていた。

すぐに手当の用意をしろ」

そう言った俺に、
「は、はい!」

パタパタと慌てたように足音を立てながらメイドが駆けて行った。

俺は彼女を自分の部屋に運ばせると、ベッドに彼女を寝かしつけた。

一体、何があって倒れてたんだ?

そう思いながら彼女の顔を覗き込むと、ドキッ…と俺の心臓が鳴った。

目鼻立ちのはっきりとした整った顔立ち。

厚くもなく、薄くもない紅い唇。

白い肌は、まるで新雪のようだった。
< 12 / 252 >

この作品をシェア

pagetop