眠れぬ夜は君のせい
どうして彼がこんなところにいるのだろう?

いろいろと疑問は浮かぶのに、何故か言えない。

そしたら、
「寂しいって、言ったでしょ?」

衛藤さんの唇が動いた。

ああ、本当にきてくれたらしい。

「萌波が寂しい時は、私がそばにいるって」

口じゃなくて、心の中で言ったの。

そう言いたいけど、言えない。

「萌波」

衛藤さんの手が伸びてきて、髪をなでる。

衛藤さんが微笑む。
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