眠れぬ夜は君のせい
それら全てのパーツに映えるような長い黒髪は、1本1本が手入れされているようで、俺は思わず手を伸ばした。

だが、すぐに俺は伸ばしかけた自分の手をひっこめた。

――彼女は、何かに似ているような気がする。

だけど、一体何に似ているのだろう?

そう思っていたら、
「正宗様、持ってきました!」

部屋にメイドが入ってきた。

「ああ、後は俺がやるから…」

――えっ…?

自分の口から出てきた言葉に、俺は驚いた。

誰がやる、って?

「――そう、ですか…?」

俺の言葉に戸惑いながらも、メイドは部屋を後にした。
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