眠れぬ夜は君のせい
「私も……あなたを信じて、いいですか?」

「もちろんだよ。

私は、出会ったその瞬間から萌波に恋してた」

気がつけば、目の前には衛藤さんの肩。

ああ、抱きしめられているんだ。

「萌波」

衛藤さんが私の名前を呼ぶ。

信じてもいい。

彼を――衛藤さんを信じてもいい。

今思うと、大事なものを失くしてよかったと思う。

こうして彼に出会えて、彼に恋をしたから。

「敦仁さん…」

背中に手を回した。
< 131 / 252 >

この作品をシェア

pagetop