眠れぬ夜は君のせい
「寂しい…」

そう呟いて、躰を戻す。

私が寂しいと言えば、あの人はすぐに駆けつけてくれた。

私が眠るまで、抱きしめて、優しく笑ってくれたあの人。

けど――あの人はもういない。

私のところに駆けつけてくることもない。

私を抱きしめてくれることもない。

私に、優しく笑いかけてくれることもない。

あの人がいなくなってから、私は何回涙を流したのだろう?

どんなに泣いても、あの人は戻ってこない。

けど、あの人と過ごした日々は、私の中の“大切な思い出”。

この世のどんなに美しいものよりも、大切なものなのだから。

☆★END☆★
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