眠れぬ夜は君のせい
――俺がやるって、彼女の手当てを?

どうしてそんな言葉が出てしまったのかは、自分でもよくわからない。

でも、何故か俺以外の人間に彼女を触れさせたくないと思った。

俺以外の人間に彼女をさわって欲しくないと思った。

何をバカなことを言っているのだろうと思っていたら、
「――んっ…」

声がしたので視線を向くと、彼女がベッドから起きあがっていた。

「――あれ。わたし…?」

彼女は訳がわからないと言うように、キョロキョロと首を動かした。

「倒れてたんだよ」

そう言った俺に、彼女は視線を向けた。
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