眠れぬ夜は君のせい
紙切れになったそれをゴミ箱に捨て、呆然となっているアタシを彼は見る。

「両親が早く帰ってこいって言ってる…。

便利なウソだよね。

親の名前を出せば、こっちが逆らえないってことを知ってるから」

呟くようにそう言うと、椅子から立ちあがる。

「本当は、寂しいんでしょう?

誰もいなくて」

彼の手が、アタシの頬に触れる。

「そうなんでしょ?」

逃げられない。

彼から、逃げることができない。
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