眠れぬ夜は君のせい
……目を疑った。

「何、で…?」

呟くように言った小さな声は、誰にも聞こえない。

彼がわたしに視線を向けたが、すぐにそらされた。

そりゃ、そうだよね。

お兄ちゃんと別れた女なんて、興味ないよね。

座敷にあがり、空いていた席に座る。

ああ、なんて運が悪いんだろう。

よりにもよって、別れた男の弟――水川岳(ミズカワガク)の目の前なんて。

合コンに参加したことを後悔した。

と言うよりも、参加を表明した自分を恨んだ。
< 165 / 252 >

この作品をシェア

pagetop