眠れぬ夜は君のせい
よく整った岳の顔。

彫刻みたいだなと、そんなことを思う。

見つめていたら、形のいい唇が横に持ちあがった。

耳元に口を寄せられたと思ったら、
「このまま2人で抜けない?」

ささやかれた。

何を言ってるの?

そんな思いをこめた視線を岳に向ける。

「今抜けたって、誰も気づかないよ?」

何かを企んでいるとでも言いたそうな、独特の笑み。

顔が整っている分、だいぶ迫力がある。

そう…よね。

みんなお酒が入ってるんだもん。

誰か抜けたって、誰も気づかないわよね。
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