眠れぬ夜は君のせい
それに……忘れたい。

あいつのことを。

別れたあいつの存在を頭の中から消してしまいたい。

「いいわ」

うなずいたわたしに、岳は手を腰に回した。


安っぽいラブホテルにでも連れて行かれるのかと思ってたけど、それは予想外だった。

「今金欠状態なんだ」

そう言うと、岳はソファーに腰を下ろした。

2人で居酒屋を抜け出し、やってきたのは岳の家だった。

1LDKの小さな部屋で2人きり。

タバコを口にくわえ、火をつけようとした岳だったけど、すぐにしまった。
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