眠れぬ夜は君のせい
「タバコ、嫌いだったよな?」

呟くようにそう言った岳に、覚えててくれてたんだと思った。

「覚えてたんだ」

呟いたわたしの声が聞こえたのか、
「兄貴がタバコを吸いに外へ出ると、いつも寂しそうな顔してたから」

岳が言った。

「…悪ィ」

急に謝った岳。

「別れた兄貴のこと、思い出させて」

ああ、そんなこと。

わたしは首を横に振る。

「別に気にしてないから。

本当よ」

最後の部分は、余計だったかも知れない。
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