眠れぬ夜は君のせい
。+゚岳Side゚+。

忘れる訳がなかった。

タバコを吸いに外へ出る兄貴の後ろ姿を見つめる藍子さんの寂しい表情。

俺が忘れる訳なかった。

「これからどうする?」

俺は聞いた。

「そこでつっ立ってても、仕方ないでしょ」

俺の目の前で立っていた藍子さんはハッとしたように、慌てて床のうえに腰を下ろした。

クールビューティーな外見には似合わない、天然さ。

本物なのか、計算なのか。

けど、そこが彼女のいいところなのだけど。

「俺は別に、構わないよ?

藍子さんがそう言うことしたいんだったら、そうするし」

ジョーダンで言ったつもりだった。
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