眠れぬ夜は君のせい
触れるだけのキスは、すぐに離れる。

気がつけば、胸の中にいた。

「もう無理かも知れない…」

桜介くんが呟くように言った。

私と見つめ合う。

「桜子さん…」

切なさそうな、その声。

「桜介くん…」

答えるように、自分から唇を重ねた。


「――んっ…」

何も考えなかった。

「桜子さん…」

触れれば触れるほど、心が揺れる。

揺れれば揺れるほど、胸が高鳴る。
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