眠れぬ夜は君のせい
話を持ちかけた僕に、そう言って断った瑠香。

「桜子さんが笑わなくなったのは、あなたが原因なんでしょう?

なのにあなたは彼女の異変を無視した。

そのくせ、彼女をとられると奪い返した。

奪い返した時、桜子さんはあなたに感謝してましたか?

助けてくれてありがとうって、そう言ってましたか?」

瑠香の言っていることは、全て当たっていた。

そうだ、彼女が笑顔を見せなくなったのは、僕のせいだった。

それに僕は気づかなかった。

いや、気づかないふりをしていた。

無理やり犯して、携帯電話を壊しても、彼女に笑顔が戻ることはなかった。

いつも、怯えていた。
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