眠れぬ夜は君のせい
「浜田さんの家庭事情を何にも知らなくて。

あんな無神経に旦那と観に行ったらって、試写会のチケットを渡しちゃって…。

本当に、申し訳なかったわ」

「そんな大家さんは…」

桜子さんが泣きながら首を横に振る。

「少しでも異変に気づけなかった私も悪かったの。

本当にごめんなさい」

大家さんは悲しそうな顔で小さく頭を下げると、その場から立ち去った。


家に帰ると、桜子さんは早速手紙を開いた。

その内容に、桜子さんはまた涙を流した。

『桜子へ

今まですまなかった。

神代桜介くんと、幸せになってください』
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