眠れぬ夜は君のせい
あげはを雇ってから1ヶ月が経った。

あの日の出来事はウソだったかのように、俺は毎日を過ごしていた。

あげはは相変わらず覚えた仕事を完璧にこなしている。

世間はまだ吸血鬼の事件が続いているのだろうか?

吸血鬼は、まだ血のない死体を出し続けているのだろうか?

ふと思ったことを隠すように、俺は紅茶を口に入れた。


「行ってらっしゃいませ、正宗様」

今日はあげはが玄関まで見送っていた。

出席もしたくないパーティーに、俺はまた呼ばれた。

どうせつまらないだけなのによくやるよなと、俺は心の中で毒づいた。
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