眠れぬ夜は君のせい
またいつも通りこなけりゃよかったと後悔するのになと、俺は車に揺られながら思った。

パーティー会場は後少しである。


「あら、正宗様」

やっぱりな。

また章子に会ってしまった。

「ごぶさたしております」

そう言った章子に、
「…やけに機嫌がいいな」

俺は毒づくように言った。

こっちはパーティーに参加しているせいで気分が悪いって言うのに…。

章子の上機嫌さは気分がよくなるどころか、さらに悪くなってしまうくらいだ。

「正宗様に会えたからです」

そう言った章子に、俺は演技がヘタクソだと心の中で毒づいた。

素人よりもヘタクソ過ぎて笑える。

「他には?」

俺は言った。
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